会社設立を考えるとき、
多くの方は「いくら儲かるか」、
「利益が出るか」に目が向きがちです。
しかし、実務の現場でより重要になるのは、
資金繰りが持つかどうかという視点です。
黒字でも資金が足りなくなれば会社は立ち行きません。
一方で、赤字でも資金が回っていれば、事業は続けられます。
会社設立時には、この前提をしっかり押さえておく必要があります。
会社設立全体の流れについては、
まずこちらで整理しておくと分かりやすいです。
会社設立の流れを税理士視点で整理|準備から設立後まで
特に創業期は、
売上も費用も不安定になりやすく、
「思っていたよりお金が減るスピードが早い」
と感じる場面が少なくありません。
損益分岐点を意識するという考え方
資金繰りを考えるうえで、
まず意識しておきたいのが損益分岐点です。
損益分岐点とは、
売上がどの水準まで来れば、
固定費や変動費をまかなえて赤字にならないか、
というラインのことです。
たとえば、家賃、人件費、通信費、外注費など、
毎月必ず出ていく固定費がいくらあるのか。
それに対して、どれくらいの売上が必要なのかを把握します。
この数字を把握していないと、
「売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない」
という状態に陥りやすくなります。
資本金の設定は、
この損益分岐点や資金繰りと密接に関係します。
会社設立の資本金、いくらが現実的?実務ベースで解説
事業が安定するまでにかかる時間を見積もる
新しく事業を始めた場合、
設立直後からすぐに安定した売上が立つケースは多くありません。
実務感覚としては、
半年から1年程度は、
売上がなかなか伸びずに、
低空飛行しっぱなしということも十分あり得ます。
業種やビジネスモデルによっては、
それ以上かかることも珍しくありません。
この「安定するまでにかかる時間」を短く見積もりすぎてしまうと、
資金繰りの計画に無理が生じます。
創業期の売上は想定を下回ると心得ておく
創業計画を立てる段階では、
売上はどうしても楽観的になりがちです。
しかし、実際には、
・集客に時間がかかる
・想定していた単価が取れない
・成約までの期間が延びる
といったことが頻繁に起こります。
創業期の売上は、
「計画通りいけば上出来」「下回るのが普通」
くらいの前提で考えておく方が、
結果的に安全な資金繰りになります。
見込まれる赤字から「耐えられる月数」を考える
資金繰りを考える際には、
「最初の数か月は赤字になる」という前提を置き、
その赤字がどれくらい続くのかを具体的に考えます。
たとえば、毎月の固定費が50万円、
売上が安定するまで毎月30万円の赤字が出るとすると、
1か月あたり30万円ずつキャッシュが減っていきます。
手元資金が300万円であれば、
単純計算で10か月耐えられる、
という考え方です。
この「何か月耐えられるか」を見ておくことで、
事業計画の現実性が見えてきます。
「なんとなく不安」を数字に落とす意味
創業期の不安は、
多くの場合「なんとなく」感じているものです。
しかし、その不安を数字に落とし込むことで、
対応策を考えることができるようになります。
・あと何か月で資金が尽きるのか
・売上がどこまで伸びれば赤字が止まるのか
・どのタイミングで追加の資金が必要か
こうした点を整理することで、
資金繰りは「感覚」から「管理」に変わります。
創業融資は資金繰り設計の一部として考える
創業融資は、
単にお金を借りるかどうかの問題ではありません。
自己資金だけで耐えるのか、
融資を使って余裕を持たせるのかによって、
事業の進め方は大きく変わります。
創業融資の考え方については、
こちらで詳しく整理しています。
会社設立と融資の考え方
創業期の資金繰りは「余裕」を持たせる
経験上、資金繰りは、
ギリギリで組まない方が安全です。
想定外の支出や、売上の遅れは、
ほぼ確実に発生します。
最初から余裕を持たせた資金計画を立てておくことで、
一時的なブレがあっても、事業を止めずに済みます。
まとめ:資金繰りは会社設立時に考えておくべきテーマ
会社設立にあたっては、
利益の話よりも先に、
資金がどれだけ持つのかを考えることが重要です。
損益分岐点を把握し、
事業が安定するまでの期間を見積もり、
赤字が続いた場合でも耐えられるかを確認する。
この視点で資金繰りを考えておくことで、
創業期にありがちな資金面の失敗を避けやすくなります。